おつきさまの記。

ゆとりのある生活をしたい、ゆとり世代が日々考えたことを書き綴っています。

ダイアログインサイレンス

「静けさの中の対話」へ行ってみて。

 

ダイアログインサイレンスとは音のない世界を体験する企画です。参加者は音を遮断するヘッドホンを付け、聴覚障害をお持ちのアテンドさんに案内され、音のない世界での対話を楽しみます。

 

ヘッドホンをつけてまず感じたのは、自分の唾液や心臓の音がうるさいということ。特に唾液を飲み込む音は頭の中で響き、なんともきもち悪い感覚でした。

アテンドさんに案内されるままに進んでゆき、いくつかの遊びを体験します。アテンドさんは表情も身ぶり手振りも豊かで、とってもかわいらしい感じ!ですが、言葉による説明がないので、遊びのルールを説明されても、いったい何をすればいいのか?なかなか理解できません。わかろうとすると、アテンドさんの表情や動きに目を凝らすことになり、自然と目で見ることに集中していきました。そういえばいつの間にか、唾液や心臓の音もぜんぜん気にならなくなっていました。

言葉とは便利なもので、言葉にすれば、言いたいことを伝えた気持ちになってしまいます。でも、音声のない世界では、相手に伝えるためには、恥を捨てて表情や身ぶりで示さなくてはいけない。そして、相手をよく見て理解しないと、伝えたいことがわからない。今回、普段のコミュニケーションで、いかに自分が表情で伝えることをさぼっていたのかを実感しました。

参加者の方もさまざまでしたが、大きな笑顔と大げさな身ぶりにすぐに慣れ、楽しそうに活動されていた方もいました。その適応力というか、柔軟性に感心しました。私は恥ずかしさを捨てきれなくて、なかなか振り切った表情や身ぶりはできなかったので……。

遊びの中にはアテンドさん対参加者のものもあれば、参加者同士の交流を求められるものもあり。初めは目を合わせ、そのうちコミュニケーションを取って行くことで、見知らぬ人とも連帯感が生まれてきます。

今回ひとりで参加をしましたし、周りは2人で参加されている方も多かったですが、そのことによって疎外感を感じることはありませんでした。

 

最後に、アテンドさんや参加者同士で対話する時間をいただきました。印象に残っているのは、「同じことをわかっているもの同士は、つながることができる」というアテンドさんの言葉。

音声のない世界は、健常者である私にとっては新鮮なものでしたが、音の聞こえない方にとっては当たり前のもの。お互いの知っている世界が違うのだから、わかり合うためには、互いの世界を知ることから始める必要があると感じました。

 

ここから手話を勉強することにまで繋げられれば、さらによいなと思いつつ。自分の知らない世界があることや、認識している世界の狭さがわかったことだけでも、すてきな経験を得ることができた90分間でした。