おつきさまの記。

ゆとりのある生活をしたい、ゆとり世代が日々考えたことを書き綴っています。

本を読むことで得るもの。

社会人になってから、新書と小説なら新書を読むべきだと感じます。新書には有益な情報、役に立つ知識が載っていますが、小説は基本的に娯楽の域を出ません。時間は限られているので、何をするにも、仕事に良い影響があったほうが良いのではないかと思うのです。

 

本を読むことは、良いことだと思いますか。あなたは、何のために本を読むのでしょうか。

 平成25年度「国語に関する世論調査」のなかで、読書について調べたものがあります。

 

読書をすることの良いところは何だと思うかを尋ねた。(選択肢の中から三つまで回答。)

「新しい知識や情報を得られること」の割合が 61.6%と最も高い。次いで,「感性が豊かになること」(40.0%)が 4 割,「豊かな言葉や表現を学べること」 (38.6%)及び「想像力や空想力を養うこと」(31.2%)が3割台,「感動を味わえること」(26.4%),「楽しく時間を過ごせること」(25.5%)が2割台半ばと続いている。

国語に関する世論調査|文化庁

 

買わせたケーキを投げ捨てるおんな。に登場した彼は、あのように、本の一節を引き合いに出して会話を始めることがわりに多い人でした。

「この間読んだ本に◯◯って場面があって、それがすごく好きなんだよね」「今の会話、△△の本にあったのと似てるね」「◇◇の本に出てきた、あの場所に似てるね」などなど。(どんな本のどんな話だったかは失念しました。)

知識をひけらかす訳ではなく、嫌味のない感じで会話は展開するのですが、私はその都度、不思議でした。なんでこんなにたくさんのことを、覚えていられるんだろう、って。

 

彼の読書は、身になる読書なのです。そんなふうに会話の中に一節が登場すれば、知的な印象を与えることができます。なによりも、好きな本の好きな部分が記憶に残っていれば、世界の見え方が変わります。彼は本を読むことで、「新しい知識や情報を得ている」わけです。

そんな彼の読書の仕方は、有意義でうらやましいものでした。なぜなら私は、まったくと言っていいほど、読んだ本の内容を覚えていないからです。

 

せっかく読んだのに、中身を覚えていないなんて、もったいないことです。

私は、同じ本は読みません。特に好きな本は何度か読んだことがありますが、買った本のほとんどは、そのまま本棚に並べられて二度と開かれることはありません。

一度読んだからと言って、本の内容を覚えているわけではありません。同じ本を二度買ってしまう、という失敗を何度かしたことがあります。まことに、もったいないことです。

 もったいないなあ、何で覚えられないんだろう。そう考えていて、ふと読書に求めるものが、違うのかもしれないと気づきました。

 

私が本を読みたくなるのは、疲れているときです。仕事が忙しくて、帰宅後も働かなければならないような日ほど、本を読みたくなります。疲れて朝の電車の座席から立ちたくなくなる時ほど、その少しの時間で本を開きたくなります。

それは、本を読むことで、つらい現実を少し忘れられるからです。色褪せた見慣れた風景も、ハッピーエンドで終わる話を読めば色鮮やかに見えるし、泣ける話を読めば切なくしんみりとしたものに見えるのです。物語の世界に思考を飛ばすことで、日常から一瞬離れられる。わたしが求めているのは、現実逃避なのです。調査の中では、「楽しく時間を過ごせること」に該当するでしょうか。

 

たとえ何も頭に残らなくても、本を読んでいる間楽しく過ごせて、読後はつかれを少し忘れて新鮮な気持ちで過ごせるとしたら、それはそれで有意義なことです。

そう思い直して、仕事に役立ちそうだけど今は読める気がしない難しい新書を後回しにして、読みたい小説を手に取るのでした。