おつきさまの記。

ゆとりのある生活をしたい、ゆとり世代が日々考えたことを書き綴っています。

ダイアログインザダーク

闇は、怖いものではありませんでした。

 

お化け屋敷が嫌いです。暗い中で、どこから、何が襲ってくるかわからない。心臓が痛くなるような緊張感と、不安感は耐え難いものです。先の見えない暗闇は、恐ろしいものだと思っていました。

 

ダイアログインザダーク。目の見えない真っ暗闇の世界を「暗闇のエキスパート」である視覚障害をお持ちのアテンドさんに案内されながら体験するものです。以前から興味はあったのですが、この8月で会場がクローズしてしまうとのことなので、予約をして行ってきました。

ひとりで参加したため、参加者は皆知らない人。年齢や性別は顔を見ればわかりますが、顔を合わせたらすぐ暗闇に入ってしまうため、どんな顔つきだったか、いくつくらいだったか、わからない状態で行動を共にします。

不思議なことに、年齢はまちまちの参加者でしたが、声は皆若々しいのです。顔だけ見ると、それはもちろんその年齢なりの雰囲気があるのですが、声には、本人の内面的な若々しさが映し出されていた気がします。あるいは、相槌のうまい人がいたり、安心感を与える話し方をする人がいたり。おそらく、顔を合わせていては気づくことのできないその人の内面の良さを、音によって掬い取っている感じがしました。

 

近くに誰がいるのか、誰もいないのか、足元に何があるのか、何もないのか。暗闇の中では、何もわかりません。何かにつまずいて転ぶかもしれない。大きな不安を感じます。ただ間近で聞こえる声と、手に触れた確かな感触だけが頼り。前を歩く人の背に手が触れると、大きな安心感がありました。

それでも、参加者同士の声かけが増えるにしたがって、闇に慣れてきます。たしかに何も見えないことへの恐怖心はあるけれど、楽しむ気持ちが湧いてきます。何も見えないからこそ、手に触れていない世界には大きな広がりがあり、可能性があります。

 

人と話しているとき、その人の顔つきや表情を見て、「きっとこういう人だろう」と決めつけて話してしまうことがあります。しかし、そのような先入観を持っていると、その人の本質を見ることができないかもしれません。

どんな顔をしているかではなく、何を言っているか。どんな服を着ているかではなく、どう考え、行動しているのか。その人の内面が表われ出る部分に注目し、人と関わっていきたい。そう感じた90分間でした。

 

もしまた、関東に会場ができたら、ぜひ参加したいと思います。